7月16日~17日の2日間、移動図書館活動に参加しました。ブックオフオンラインの菊谷よりご報告いたします。
参加した従業員は6名。キャリアの長い社員の他にも、ブックオフの店舗スタッフや、ブックオフオンラインのカスタマーセンタースタッフ等、今回も実に多彩なメンバーが、自ら手を挙げて集結しました!
同じブックオフチェーンで働いてはいるものの、日頃の職場は異なるため、ほぼ全員がお互いに初対面。
仙台駅で集合し、レンタカーを借りて山元町のシャンティ国際ボランティア会事務所までの移動中の時間は、各々の自己紹介タイム。それぞれが、なぜこの活動への参加を志願したのかを熱っぽく語ります。
「被災地の復興のためにお役に立ちたい」「ずっと気になっていたが、きっかけがなかった」等々、動機はさまざま。でも共通しているのは、「自分にできることが、何かないか」という心からの思いです。
7月16日。運行前日のこの日は、シャンティ国際ボランティア会の方に被災地の様子をご案内いただきました。
私自身は2~3ヶ月に1度くらい山元町事務所を訪問しており、同じ場所を毎回見させていただくのですが、
着々と変化していく部分と、一向に変化の兆しがない部分が両極端あるように思えます。
右手奥に見えるのは「復興住宅」。
自治体が土地を整備し、建設している住宅です。
仮設住宅から出て、こちらに移り住む方も徐々に増えているようです。
見学している最中にも、すぐそばで新しい棟の建設工事が進んでいました。
JR常磐線「山下駅」の跡。
津波で大きな被害を受けました。
昨年こちらに来た際には、まだ駅舎や階段、ホームなどが辛うじて残っていたのですが、倒壊の危険性も考慮されてか、ほぼ全面的に撤去されていました。
撤去は終わっても、再建は未着手のようです。同じ場所に駅をもう一度作るかどうか、という難しい議論もあります。
山元町事務所で、震災当日の津波の様子を撮影したDVDを見て、あらためて被害の大きさを再認識する参加メンバー。
テレビだけで見た光景ではなく、自分達が今いる場所の「あの日」の状況を目の当たりにし、一同の胸に期するものがありました。
夕方からは、翌日の運行準備。移動図書館車の中に、本の在庫を補充していきます。
特にブックオフ店舗スタッフにとっては、いわゆる「棚づくり」は本領発揮できるところです。
さあ、準備は万全!
7月17日。いよいよ運行当日です。
毎回同様、朝はみんなで記念撮影して
結束を固めてからのスタートです!
今回の運行では、午前中に2ヶ所、午後に2ヶ所の計4ヶ所の仮設住宅を訪問しました。
午前中の2ヶ所は、あまり表の人通りが見られず、お越しになる方もチラホラといったところ。
「今日は涼しいから、みんな部屋の中で過ごしているよ。用事がないと、部屋の中にこもりっきりになっちゃうのよ。」
ある利用者の方が教えてくれました。
移動図書館は、お住まいの方の「孤独を防ぐ」ことも重要なテーマです。
ぜひ、この活動が「外に出るきっかけ」になりますように。
午後になると、日が出てきたこともあり、お越しになる方も増えてきました。
「コーヒーはいかがですか?」「あっ、じゃあもらおうかしら。あら、おいしい!」
移動図書館は、本を借りるだけではなく長居していただける交流の場。お住まいの方どうしで話も弾みます。
参加メンバーも、作業を分担しながらできることをやっていきます。ブックオフオンラインのスタッフはパソコンが得意。返却された本を登録処理していきます。ブックオフ店舗スタッフは、返却本や予備在庫本を棚に補充していきます。それぞれの得意分野を活かしながらの、運行のお手伝いです。
店舗でのお客様対応とは、また違った形でのコミュニケーション。
大事なのは、こちらから話すことではなく、お話を聞かせていただくことです。
ちゃんと話し相手になれるだろうか?
そんな心配がいらないくらい、お住まいの方々は日々のお話、震災当時のお話などを、どんどんお話しくださいました。
「全部流されちゃったからね~」
津波に追われ、九死に一生を得たようなお話を笑顔で、冗談めかして語っていただく方々に、逆にこちらが笑わせられることもしばしば。
ただ、そんな中「昨夜も眠れないから睡眠薬を飲んだのよ」「私も」などと精神的なお悩みを吐露される場面も随所にありました。
復興住宅の建設も進み、仮設住宅を出る方はいらっしゃいます。今回訪問した中でも、半数が退去済みの仮設住宅もありました。しかし逆に言えば、まだ半数の方が出られていないという現状があります。「もともと住んでいた沿岸部に住みたいが、許可が出ないまま月日が経過している」という方も多くおられました。明るい笑い声の中で、被災地のいまだ深刻な実情をかいま見た気がしました。
4件目の仮設住宅には、夕方に到着。
お子さんの下校時刻と完全に一致する時間帯です。
まだ受付デスクの設営途中にもかかわらず
「こんにちは!」と飛び込んでくる男の子。
思わず「お帰り!」と応対して、一気に場がなごみます。
あっという間に、受付デスクがお子さんで埋まっていきます。
午前中はあまり借りられなかったコミックや絵本などが、どんどん移動図書館車の棚からなくなっていきます。
さあ、予備在庫を補充!補充!
話を聞いてほしいのは、お爺ちゃんも、お婆ちゃんも、お兄ちゃんも、お姉ちゃんも一緒。
元気に圧倒されながらも、「楽しんでもらえる空間づくり」を意識して、一人ひとりと向き合うメンバー。
自分たちにできることは、確かにありました。
震災発生から2年以上が経過しました。今回の活動参加では、被災地の現状を取り巻く問題を感じる部分もありました。
今もまだ仮設住宅にお住まいの方々は、それぞれの事情を抱えています。
そもそも復興住宅が足りておらず、移住できない方。高年齢で自活できるだけの状況になく、仮設住宅に住み続けざるを得ない方。移住先の土地の確保がなかなか進まず、出るに出られない方。もともと住んでいた沿岸部に再度住みたいが、行政の許可が難航している方。個人の力ではどうしようもできないことばかりです。
未曾有の大災害であったため、被災した沿岸部の復興については方針の確定に時間もかかる模様です。
被災地関連の報道は最近少なくなっていますが、現地の方のお話を聞けば聞くほど、今起きている問題の根深さに愕然とするばかりでした。
そんな中、お住まいの方々が「この環境の中で、今できることを楽しもう」と頑張っているお気持ちが、我々にもひしひしと伝わってきました。リクエストでは旅行の本や温泉の本を要望する方が多く、「読むことで、旅行に行った気になりたい」というお言葉が印象的でした。
今回の参加では、被災地の復興にはまだまだ時間がかかることを今一度痛感させられました。難しい問題や根本的な要因は、我々には解決できないことかもしれません。我々にできるのは、本をお貸しして、お話を聞いてさしあげることだけかもしれません。しかし、それだけのことでもお役に立てるのであれば、これからも地道に活動を継続していきたいとあらためて感じた運行でした。
復興に時間がかかるからこそ、東日本大震災の存在が風化しないよう、支援の輪が広がり続けるよう、今後ともブックオフチェーンから多くの従業員が参加し、移動図書館活動のお手伝いをしてまいります。